対談:ゲイリー・ヴェイナチャックとマーク・キューバン 〜NFTが残ることは歴史が証明している〜

人物紹介:
Gary Vaynerchuk (ゲイリー・ヴェイナチャックさん)
米国のシリアル起業家(次々と起業する人)、ニューヨークタイムズベストセラー作家(過去4冊)、演説家、国際的に認められているインターネットセレブリティである。

Mark Cuban(マーク・キューバンさん)
アメリカ合衆国の実業家。NBAのダラス・マーベリックスでオーナーを務めている。

ゲイリー:
マーク、元気ですか?今日は登壇してくれてありがとう。早速ですが、最初に言いたいことがあります。それは「あなたは過小評価されている」と言う事です。この5-6ヶ月間でNFTが最終段階にきており、お互いに共通体験が多いのでそう思います。

あなたはものすごく「消費者中心主義」ですが、そのことについてはあまり語られていません。というのも、NFTで出会ったすべてのもの(情報)は、私を怖がらせ、震え上がらせましたが、あなたは違います。ましてやあなたを尊敬しているので、嬉しくなりました。

あなたはエンジニアなので、「NFTがどう役に立つのか?」という事ではなく、「NFTのために何が必要か?」を考えています。これは、長年お互いを知っているので感じています。

今回のNFTは特に、多くの人々がかなり積極的に取り組んでいるように感じます。「ウェブ1.0」や「ウェブ2.0」が私に与えた印象とまったく同じです。この事象をどう理解して、どう受け止めていますか?

マーク:
そですね、テクノロジーの唯一の利点は人々がそこから利益を得ることです。そのためには、アプリケーションが何であるか?また人々がそれをどのように利用できるか?を理解する必要があります。私の最初の会社では、人々がストリーミングをやる前にローカル・エリア・ネットワークを作りました。そして2006年に全高精細テレビ放送局を垂直展開しました。そして映画館を所有し、映画DVDをオンラインで公開しました。「人々は何を消費しようとしているのか?消費者にとって最も抵抗の少ない道は?」もし、あなたが関わっている技術を、その抵抗の少ない人々へ、より良い体験を提供できれば成功することができます。

ゲイリー:
マーク 、私はここでは1999年 や2000年にインターネットの力学が作用していると思います。マクロの観点から、NFTのインパクトは人々が実際に認識しているよりもずっとずっと大きいです。これは社会的な真実です。デジタル化された資産を使ってコミュニケーションを展開していくでしょう。

1999年・2000年のように、ある特定のグループが(まだ小さいですが)非常に盛り上がっており、多くのインターネット株が長期的に値上がりしたような感じです。今後5年間はNFTも乱高下し、需要と供給の動向によっては、個人投資には向いていないかもしれませんが、長期的にはamazon、ebay、googleのようなものを見つけられないでしょうか?


マーク:
インターネットが盛り上がったのは1999年ではなく、1995年です。また私が思うに、NFTはそこまでではありません。NFTは単なる「概念の証明」です。1995年には誰もがウェブサイトを立ち上げてビジネスになると思っていました。コンピュータ言語(htmlやjavascript)を操るのは難しくスマートに思えました。だから、すべてのウェブサイトがビジネスのように思えて、誰もが興奮していました。

しかし、NFTは「概念の証明」や「概念の担保」に過ぎず、基本的な「概念」EVM(イーサリアム・ヴァーチャル・マシン)上にある「スマートコントラクト」です。一般的にはイーサリアムですが、Maticや他の場所もあります。

さきほどは「ストリーミング vs リアル・ネットワーク」と「ネットショー vs ストリーミングプロトコル」について話しました。今度は「ブロックチェーン」についてです。実際にはイーサリアムや他の互換性のあるブロックチェーン上にある「スマートコントラクト」は、まだ始まったばかりです。NFTとは「概念の証明」です。またデジタルであれば何でもNFTになり得ます。まだ何ができるか?未知数です。

ゲイリー:
では、誰が勝者で誰が敗者になる思いますか?例えば、今後5年間のチェスの動きをどのように見ていますか?今後5年、7年スパンで大きく本当に得をするのは誰だと思いますか?

今や消費者は「自己管理ウォレット」に慣れています。「昔、両親がパソコンにクレジットカード番号を入れるのが怖がっていたけど、そんな風にならないで!」と友人に言っています。

マーク:
そう、それは私も引用する例えなんだ。

ゲイリー:
父が経営する酒屋の店員全員が「winelibrary.comでお酒を買って、ニューヨークから車で行くな、カードが盗まれる!」と思っていました。

マーク:
そう、それはメディアでも同じでした。当時ストリーミング放送をやっていた時、人々は「インターネット放送?そんな面倒くさいことはせず、テレビの電源を入れて見るだけだ。放っておいてくれ!」という具合でした。

ゲイリー:
今後うまくやれる人と、少しばかりレバレッジを失う人はどういう人だと思いますか?巨大化したインターネットに対する、新たに登場したブロックチェーンエコシステムについて。

マーク:
判断するのはまだ早いですが、私はイーサリアムは大丈夫だと思います。なぜなら、それは誰もが競おうとしているプラットフォームだからです。スピードで勝負しようとすると、トランザクション毎秒や価格面で非常に厳しいものがあります。マイルストーンやベンチマークを設定するからです。イーサリアムコミュニティの人々はEIPs(イーサリアム改善提案)を実施しています。業界全体が前進し、スマートコントラクトは進化するでしょう。私は、すべての原動力となるのはアプリケーションだと考えます。

ところで、あなたのこれまでの実績は、NFTの価値提案をデジタル写真や映画だけでなく、価値を拡張しました。本当に度胸があります。私が遅れをとって、あなたの会計士や税理士にはなりたくありません(ハハハ)。

ゲイリー:
私は普通の収入にも関わらず、イーサリアム価値が半値になってしまった時、非常にワクワクした48時間を過ごしました。間違いなく。

マーク:
あなたはNFTに、様々なイベントへのアクセスを組み込みました。その際、どうやって責任を取るか?…それが1つの問題だと思います。例えば、クリフノート(CliffsNotes:学生向けの学習ガイドのシリーズ。文学作品やその他の作品をパンフレットやオンラインで紹介するガイド)は、「学校の授業を受けて、それを売る」サービスです。これを出版業界の人がやっています。音楽の問題も解決していません。ロイヤリティの問題があり、プラットフォームを超えた問題もありますからね。いずれ解決されると思いますが。

またあなたが「クレジットカード」の例えをするように、私は「ストリーミング」の例え話をします。1995年に初めてストリーミングを始めたときラジオ局を聴くには、モデム付きのPC、ダイヤルアップISP、TCPクライアント、またウェブサイト上のバッチファイルなどが必要でした。それが今では、テレビを観ているのと何ら変わりません。

ゲイリー:
残り時間がわずかになりました。最後の質問です。

今や誰もがNFTでコンサートやスポーツイベントのチケットを発行できるようになりました。私はGAS価格が安くなったのでイーサリアムを選んでいますがWAX (World Asset eXchange)や、他のプラットフォームでもできます。

イーサリアムは進化してレベル2になるでしょう。そして私たちは、1年後、 3年後、5年後にはNFTですべてのチケットを作らない理由がほとんどなくなると思います。それはマーケティング担保資産となるからです。このあたり、転換期や何か論理的に説明できる事はあるでしょうか?

例えばバスケットボール選手のルカ・ドンチッチが1試合で100点を取るなんてことがあったら、4年後にそれはチームの二次的な派生ロイヤリティ資産になります。それは…いろんなことができるようになるんです。

マーク:
そうですね、NFTは何でもできます。問題はやるかどうかではなく、いつやるかです。

例えば、来シーズンにチケットマスターで、座席を選んでNFTを発行します。そしてゲイリーの座席は「A3、セクション109」という事が「API BAM」技術を使ってわかります。それに関連するすべての関連した価値を生み出すことができます。付加価値には限界がありませんので。

難しいのは、それをどうやってチケット購入に近づけるかということです。それには時間がかかります。